歯は歯ぐきに植わっていない!?
- お知らせ
- 2012年12月18日
一般の方(残念ながらご存知ない歯科医師の先生も)は、歯は顎の骨に植わっていると思っていらっしゃると思います。これは正しくもあり、間違いでもあります。
生まれたての赤ちゃんには歯が生えていません。しかし、顎の骨はあります。その部分を顎骨(がっこつ)といいます。その顎骨の中でまず歯のアタマの部分が出来ます。そして、その後に根の部分ができてきます。おおよそ根の1/4~1/3が出来てきた位に歯が生えてきます。そして、歯のアタマの部分が段々出てくるに連れて根も長くなってきます。大体根の長さはアタマの部分の3~4倍の長さになります。
そこで考えてみてください。そこまで長くなるのに元々歯が生えていなかった顎骨に入りきれるはずがありません。じつは、根の部分の表面から骨を造る細胞が出ているのです。要するに骨を新しく造りながら歯は生えてきているのです。この根の周りの骨を歯槽骨(しそうこつ)といいます。これは大人の歯の場合も同じです。 タイトルの理由はこういうことです。元々あった骨に単に歯が生えてくるわけではなく、歯が骨を造っているのです。
今度は逆を考えてみましょう。残念ながら虫歯で歯を抜かざるをえなかった場合どうなるでしょうか。経験がある方はご存知でしょうが、歯の根が骨を造っていますので、それがなくなると骨が縮んできます。そのスピードは個人差がありますが、元の顎骨の部分まで徐々に縮んでいきます。
今度は歯周病の場合を考えてみましょう。歯周病の場合はその名の通り歯の周りの病気です。当然歯が残っているわけです。それでも何故歯が抜けていくかというと、原因は歯垢にあります(歯石と混同されないように)。歯垢は歯と歯ぐきの境目にこびり付いてドンドン増えていきます。歯のアタマの部分にも根の部分にも増えていきます。アタマの部分は自然にとれる場合もありますが、根の部分の歯垢は取り除くことができません。根の部分に増えていく歯垢はその表面の細胞を壊していきます。 もうおわかりですよね。歯槽骨は根の表面の細胞からできていますので、それが壊れるということは根が植わっている骨がなくなっていくということです。そして、歯がグラグラになってジ・エンド。
適切な歯周治療を受けて病気の進行をくい止めましょう。
それよりもまず予防をしっかりとやりましょう。